輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ふたつのみち
二つの途
豊島 与志雄
線上閱讀豊島 与志雄《二つの途(ふたつのみち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 51,102 字 · 104 頁
「お前は淋しがってるね。」
信子は黙って彼の顔を見返した。
「淋しいだろう。」と彼はまた云った。
「ええ。」と信子は口の中で答えた。それからじっと啓介を見つめながら、前より少し高い声で口早に云った。「早くよくなって下さいな!」
「うむ。長く寝てると僕も淋しい。」
啓介は彼女の方に眼を向けた。そして視線を外らした彼女の横顔を眺めた。
「然し木下君が居ることは、僕にとって大きな力だ。」
信子は黙っていた。
「僕は、」と啓介はまた云った、「木下君が側に居てくれる間は、少しも淋しくないような気がする。お前はそんな気はしない?」
信子は黙っていた。
「例えば、木下君が外に出かけて不在だと、妙に頼りない気分に襲われてくる。然し木下君が戻ってくると、何だか安心したような心持ちになる。病気しない前は、僕の方が年齢も上だし、読んだ書物の数も多かったせいか、何かと云うと木下君は僕によりかかって来た。所がこの頃では、僕の方が向うによりかかってゆきたいような気になっている。……お前もそんな気持になることがあるだろう?」
「ええ。」と信子は答えた。
「木下君が居ないと、お前も妙に淋しい顔をしていることがあるね。