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ふたつのじょぶん
二つの
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《二つの(ふたつのじょぶん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,903 字 · 236 頁
もし果して然らば物理学の所得たる電子等も未だ決して絶対的確実な実在の意味を持たぬものであって、これに関する観念が全然改造さるる日もあるだろうと信じて居る」と断言されているのである。
今から考えてみれば、世界中の学者がかかって、電子の性質について煩瑣哲学的な研究を積み重ねるべく、無駄な努力を払っていたわけである。そういう趨勢の由って来たるところは、電子の粒子性の実験に誘われるままに、誰もが何時の間にか、電子を野球の球のようなものが極度に小さくなったものという風に思い込んでいたことにあるのであろう。電子をそういう意味での「実在」と思い込んでしまえば、いろいろな物性をそれに賦与するのも自然の勢いである。まして昔から物質の第一性質と考えられて来た不可入性などについては、疑問をもった人はほとんどなかったわけである。しかし先生は、その点までも指摘しておられるのである。「若し今日電子の色を黒いとか赤いとか云えば学者は笑うに相違ないが、電子が剛体であるとか弾性であるとかいうのはそれ程怪しまない。まして電子の不可入という事について疑う人は極めて稀だと云ってよい。しかし著者は此の如き仮定の必然性を何処にも認め得ない」