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ふたつのじょぶん

二つの

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《二つの(ふたつのじょぶん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,903 字 · 236 頁

青空文庫

二つの序文

その一、戦争中の序文 昭和十九年一月記

この二つの序文は、私が前から心がけていた『雪華研究の記録』につけるために書いたものである。初め戦争中にこの本を出そうと思って書いた序文と、敗戦後に書いた序文とを、二つ並べてこの随筆集の中に入れた。

『雪華研究の記録』は、稿を起してから、既に四年半になるが、未だに出来上らない。敗戦前一年半の悪夢のような生活と、敗戦後三年間の自分の心の焦燥とを思い返してみると、それも当然のことのような気がする。しかしもう気持も落着いたので、そのうちにこの『記録』も世に出ることと思う。しかしそれにはこの序文は二つとも必要がなさそうである。今度書くとしたら、態度が今少しちがうであろうと思われるからである。

しかしこの二つの序文には、それぞれその時々の気持が出ているように思われるので、棄てるのも惜しく、本書に入れた次第である。

その一、戦争中の序文  昭和十九年一月記

北千島にもいよいよ空襲があるようになった。

その報を耳にしながら、私たちは今、札幌の低温科学研究所と、ニセコの山頂とで、雪に基づく障害防除の或る研究にわれわれの力の及ぶ範囲内で、出来るだけの努力をはらっている。