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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《人外魔境(じんがいまきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 101,713 字 · 205 頁
あのときドドは羽目を隔てていたが、それを透して、なかのマヌエラを遠くから動かす――そんなことは、土人の魔法医者なら朝飯まえの仕事だ。まして、飛行機をみても驚かぬようなドドには、なにか底しれぬものがある。
マヌエラ自身の素質か、ドドの魔性かと、廻り燈籠のような疑問が考え疲れたあげくふと消えて、座間は思いがけもしなかった大きな穴が、じぶんの足下に口を開いているのに気がついた。ああ、二重人格でもなければ、ドドの魔性でもない。たんなるマヌエラの裏切りなのだ。ヤンがきてその純白の肌を見、振返って座間の黒々とした皮膚をみたとき、マヌエラは一途に座間が嫌いになったのだ。売女、売女め! とかきむしるような言葉を、寝床のなかで座間は咆えたてていた。やがて夜があけた。雨が暁の微光に油のように光りはじめてきた。
その翌夜、カークを書斎に呼びいれて、座間は気負ったように話しはじめた。
「君、僕は旅行しようと思う」
「よかろう、君はきのうの晩ちょっと変だったが、きっと、過労のせいだと思う。どこへゆくね? スイスかウィーンかね」
「いや、この大陸のずうっと内核へゆきたいんだ。コンゴのイツーリからずうっと北へ――僕は、未踏地帯にゆく」