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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《人外魔境(じんがいまきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 101,713 字 · 205 頁

青空文庫

大地軸孔の悲歌

噛みあう氷罅、激突する氷塔の砕片。それが、風に煽られて機関銃弾のようになり、みるみる人夫の顔が流血に染んでゆくのだ。まさに流れる氷帯ではなく、氷の激流。ここだけは、永遠に越えられまいと思われた。

大地軸孔の悲歌

「君、ちょっと折り入っての話がある」

隊が立往生をしてから、一か月後のある夜。こっそり折竹の天幕へ、セルカークが入ってきた。彼は、周囲をたしかめてから、密談のような声で、

「取らぬ狸の、皮算用かもしれんがね。いずれは大盲谷の油層が、われわれの手に入るだろう。しかし、そうなったとき分け前が出るようじゃ、儂は馬鹿馬鹿しいと思うんだよ」

「へえ、というのはどういう意味だね」

「それは、オフシェンコのことだ」

とセルカークはいっそう声を低め、

「奴は、最後まで頑張るといっている。けさ、君とヒルト博士が大喧嘩をした後で、こっそり奴の意見を聴いてみたんだよ。するとだ、奴は馬鹿に昂然としてね。――任務だ、最後まで君らと共に――なんてえ、えらい鼻息なんだ」

その日の朝、温霧谷の速流氷河の攻撃時期について、彼と独逸航空会社のヒルトとが大激論をした。ヒルトは、速流氷河をわたる方法なしと言う。