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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《人外魔境(じんがいまきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 101,713 字 · 205 頁
有尾人ドドの出現
そういえば、密林のはずれにあるマヌイエマの部落で、“Kungo”といっている蚊蚋の大群が、まさに霧のごとく濛々と立ちこめている。私は、そう分るとぞっと寒気だち、あのゴリラがいなければ死んだかもしれぬと思うと、いま頭に手を置いてのそりのそりと歩いてゆく、墓場への旅人に冥福の十字をきったのである。
ヤング卿はこうして倉皇と逃げかえって、危く一命を完了した。なまじ進めば、北は瞬時に人を呑む危険な流沙地域。他の三方は、王蛇でさえくぐれぬような気根寄生木の密生、いわゆる「類人猿棲息地帯」の大密林。だが、読者諸君、そこへ踏みいって無残にも死に、奇蹟的にも大記録を残すことのできたわが日本人の医師がいるのだ。その踏破録を、シトロエン文化部の発表に先だって、これから物語風に書き綴ろうとするのである。
有尾人ドドの出現
葡領東アフリカの首都モザンビイクは、いま雨期のまっ盛りにある。
人が腐る、黒人の膚からは白髪のような菌がでる――そういう、雨期特有のおそろしい湿熱が、いまモザンビイクをむんむんと覆いつつんでいる。雨、きょうもこの島町は湯滝のような雨だ。
毒蠅のマブンガを避けて閉めきっている室のなか、座間の研究所の一室に、アッコルティ先生がいる。