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じゅうにしこう
十二支考(上)〔全2冊〕
南方 熊楠
線上閱讀南方 熊楠《十二支考(上)〔全2冊〕(じゅうにしこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 290,735 字 · 566 頁
一六四四年、オランダで出版された『ヒポリツス・レジヴィヴス』てふ詩は、手苛く婦女を攻撃したものだが、発端に作者自ら理論上女ほど厭な者はない、しかし実行上好きで好きで神と仰ぐと断わって居るは、最粋な人だ。惜しい事にはその本名が伝わらぬ。上に引いた『薩婆多論』の述者も、多分こんな性の坊主だろう。
女の方へ脱線ばかりすると方付かぬから、また蛇の方へ懸るとしよう。まず蛇の魅力の豪い奴から始める。『酉陽雑俎』の十に、〈蘇都瑟匿国西北に蛇磧あり、南北蛇原五百余里、中間あまねき地に、毒気烟のごとくして飛鳥地に墜つ、蛇因って呑み食う〉、これは地より毒烟上りて、鳥を毒殺するその屍を蛇が食うのか、蛇がその磧一面に群居し、毒気を吐きて鳥を堕し食うのか判らぬ。蛇が物を魅するというは、普通に邪視を以て睥み詰めると、虫や鳥などが精神恍惚て逃ぐる能わず、蛇に近づき来り、もしくは蛇に自在に近づかれて、その口に入るをいうので、鰻が蛇に睥まれて、頭を蛇の方へ向け游ぎ、少しも逃げ出す能わなんだ例さえ記されある。『予章記』に、呉猛が殺せし大蛇は、長十余丈で道を過ぐる者を、気で吸い取り呑んだので、行旅断絶した。