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じゅうにしこう

十二支考(上)〔全2冊〕

南方 熊楠

線上閱讀南方 熊楠《十二支考(上)〔全2冊〕(じゅうにしこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 290,735 字 · 566 頁

青空文庫

紀州で今も行わるる話には、夫が画いたは勒附きの馬だったが、帰って見るに勒なし、妻を責むると馬も豆食う時勒を去らにゃならぬと遣り込められたという。この型の諸譚、一源より出たか数ヶ処別々に生じたか知らぬが、記録に存する最も古きは日本の物と見る。右は東京の蘭国公使館書記官ステッセル博士の請に任せ、一九一〇年発行『フラーゲン・エン・メデデーリンゲン』へ出した拙稿の大意である。

本邦で馬に関する伝説の最広く分布しいる一つは白米城の話であろう。『郷土研究』巻四と『日本及日本人』去る春季拡大号へ出した拙文に大概説き置いたから、なるべく重出を省いて約やかに述べよう。建武中、飛騨の牛丸摂津守の居城敵兵に水の手を切られ苦しんだ時、白米で馬を洗い水多きように見せて敵を欺き囲を解いて去らしめた。また応永二十二年、北畠満雅阿射賀城に拠りしを足利方の大将土岐持益囲んで水の手を留めた節も、満雅計りて白米を馬に掛けて沢山な水で洗うと見せ敵を欺き果せた。因って右の二城とも白米城と俗称す(『斐太後風土記』十一、『三国地誌』三九)。而してこの通りの口碑を持つ古城跡が諸国に多くある。土佐の寺石正路君に教えられて『常山紀談』