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こきんしゅうまきのご
古今集巻之五
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《古今集巻之五(こきんしゅうまきのご)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,482 字 · 43 頁
十余年このかた、隣りの桜井藩と毎年正月に対抗試合がおこなわれ、ずっとこちらの勝が続いていたところ、二年まえに永井が正気館を去ってから、今年ですでに三回、続けて桜井藩に勝を取られていた。
――噂によると家格が旧に復し、永井は中老にあげられるという。昨夜も菊田氏はそう云って主計を責めた。正気館から籍を抜いたのはそのためだと聞いたが、そんなばからしい話はない、剣法の鍛錬を続けていればこそ、中老のお役もりっぱにはたせるのではないか。
永井は決してさからわず、まるく肥えた顔に、いつもの明るい微笑をうかべながら、菊田氏に盃を持たせっきりで、ひまなしに酌をしていた。
――そうです、仰しゃるとおりです、まったく仰しゃるとおりです、さ、熱いのが来ました、おかさね下さい。
あれも剣法の呼吸の一つだろう、永井は昔から開放的な、少しもかげのない性質であったが、昨夜のような場合には特にそれがよくあらわれる。相手を下にも置かずもてなしながら、卑屈なところは微塵もないし、巧みに鋭鋒をいなす態度は、見ていても頬笑ましいくらいであった。菊田氏がきげんよく酔いつぶれ、まもなく志田が帰ったあと、友達だけになって一刻ばかり飲んだろうか、酔いがまわってくると、汲田が「席を替えよう」