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こくをみる

古句を観る

柴田 宵曲

線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁

青空文庫

芭蕉が伊良胡に杜国を訪ねた時の句に「すくみ行くや馬上に氷る影法師」とあるのを見ても、その寒さはほぼ想像出来る。

この句は馬上の旅を続けている人が、足のつめたさに堪えず、馬の首に触れてあたためる、ということらしい。温め鳥と同じやり方である。馬の体温によって足をあたためるというのは、馬上の寒さを裏面から現したようで、実はそうでない。われわれも作者と同じく、足を触れる馬の首のあたたかさを如実に感じ、併せて昔の旅人の侘しさをしみじみと感ずる。珍しい句である。

炉びらきや障子の穴の日のこぼれ    東耕

炉開の畳の上に――畳でなくても構わぬが、先ず畳と解するのが妥当であろう――障子の穴から日がさしている。ぽつりと落ちたような日影を「こぼれ」といったのである。いささか巧を弄した言葉のようでもあるが、最も簡潔にその感じを現したものと見ることが出来る。

畳にさす小さな日影に目をとめる。そこに炉開頃にふさわしい、落著いた気分が窺われる。

筆や氷る文のかすりのなつかしき    機石

人から来た手紙を読んでいると、ところどころ筆のあとのかすれたところがある。寒い夜半などに筆を執って、穂先が氷ったためにかすれたのであろうか、と想いやった句である。