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そうせきしとわたし
回想 子規・漱石
高浜 虚子
線上閱讀高浜 虚子《回想 子規・漱石(そうせきしとわたし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,187 字 · 231 頁
居士もかつてこういうことを言ったことがあった。
「この間紅緑が何かに書いて居ったが、俳句の事業は革新とはいうものの寧ろ復古で、決して新らしい仕事という事は出来ないが、写生文は純然たる新らしい仕事で、これは我ら仲間が創始したものと言って誇ってもいいのである。」
しかし余をして忌憚なく言わしめば居士の俳句の方面に於ける指導は実に汪洋たる海のような広濶な感じのするものであったが写生文の方面に於ける指導はまだ種々の点に於て到らぬ所が多かったようである。その一、二の例をいえば、居士は頻りに山ということを唱えて、山のない文章は駄目だとし、特に『水滸伝』などを講義して居士の認めて山とするものを指示してくれたが、今日から見るとその山なるものはよほど境界の狭いものであった。――文章会を山会と言ったのもそれに基いたのであった。――また居士は山を製造することを頻りに唱道したが、それも晩年になって、自然を寸毫も偽わることは大罪悪なりといった言葉から推すと、自ら否定したものともいえるのである。――少くとも其処に矛盾した二個の主張があったともいえるのである。
居士の盛名は日に月に加わって来た。