輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ゆめはよびかわす
夢は呼び交す
蒲原 有明
線上閱讀蒲原 有明《夢は呼び交す(ゆめはよびかわす)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 頁
叡山の根本中堂の前にその木があるという。鶴見はまだ見ないが、泡鳴がそれについて一度語ったことを覚えている。伝教大師の時代まで遡るとすれば、その渡来も随分古いものである。しかしその割に世にひろまっていない。
東京ではその木を見掛けなかったようである。鶴見が始めてその生態に接したのは、初度に鎌倉に移ってからのことである。
雪の下の僑居の筋向いに挿花の師匠が住んでいて、古流では名人に数えられていた。その家の入口の前坪に四つ目を結って、その内側に、やっと四、五尺に伸びた御柳がうえてある。瀟洒としたたたずまいが物静かな気分をただよわせている。そのために狭い場所も自然にくつろいで見えるのである。鶴見は日々の出入に、その家の前を、目を掛けて通らぬことはなかった。
それがどうであろう。今度またこの地に戻って来て見れば、そのあたりはすっかり様子が違っている。その家の主人は上田といった。それから二十五、六年は立つ。上田さんも存命であらばよほどの高齢と思われる。その後どこかへ引移ったものであろう。門札は名前が変っていた。入口にあった御柳も姿を見せない。
その当時、鶴見の仮寓の真向いは桶屋だった。