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やまとこじふうぶつし

大和古寺風物誌

亀井 勝一郎

線上閱讀亀井 勝一郎《大和古寺風物誌(やまとこじふうぶつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 108,647 字 · 215 頁

青空文庫

境内の広さについては、田沢坦、大岡実両氏編纂の「図説日本美術史」によって往時の復原平面図をみることが出来たが、中門以内だけの寺域を目算によって比較してみても、東大寺は法隆寺のおよそ十倍、薬師寺のおよそ六倍、興福寺のおよそ五倍あったことがわかる。南大門以内の寺域をいれると、前記のように二十四万余坪となり、更に桁はずれに大きい。東西の七重塔を囲む廻廊の地域だけで、ちょうど法隆寺の中門以内のすべてに相当するのだから、いかに大規模の伽藍であったかが想像されるであろう。

建立の前、この一切を夢のように思い浮べ、そして実現を決意した人格とはいかにすばらしい浪曼家であったろう。かかる雄大な発想の可能なるはただ天皇のみ。私はそう思わざるをえなかった。即ち聖武天皇の熱烈な信仰と壮大豊麗の御夢とを、いま更のごとく驚嘆したのである。わが皇統においては、周知のように代々の天皇は歌をお詠みになる。大歌人と申すべき方も尠くない。その御製の雄大なるは万葉集によっても明白であるが、そういう精神が大伽藍造営にあらわれた例としては、聖武天皇を第一人者と申していいのではなかろうか。