輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
線上閱讀亀井 勝一郎《大和古寺風物誌(やまとこじふうぶつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 108,647 字 · 215 頁
塔について
何故なら、この大仏は、いままで述べ来った薬師如来像を遥かに大きく継いだものと推察されているからである。
――昭和十七年秋――
塔について
古寺の風光のなかでもとりわけ私の愛するのは塔の遠望である。奈良から法隆寺行きのバスが出ていた頃は、いつもそれに乗って出かけることにしていた。豊かな大和平原をゆられながら、次々とあらわれてくる塔を望見するのがこの上もなく楽しかったからである。いまは田園と化した平城京址を過ぎて行くと、まず薬師寺の東塔がみえはじめる。松林の、緑のあいだにそそり立つその端麗な姿が、次第に近づいてくる有様は実にすばらしく、古都へ来た悦びが深まるのであった。また小泉のあたりを過ぎるとき、遥かな丘陵の麓の森蔭に法起寺と法輪寺の三重塔が燻んでみえ、やがて法隆寺の五重塔が鮮かな威容をもって立ちあらわれる状景には、いつも心を躍らされる。何故あのように深い悦びを塔は与えるのであろう。
「ああ塔がみえる、塔がみえる」――そう思ったとき、その場で車をすてて、塔をめざしてまっすぐに歩いて行く。これが古寺巡礼の風情というものではなかろうかと思う。おそらく古人も、遥かに塔を望みながら、誘わるるごとくひきよせられて行ったに相違ない。