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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

「それが悪女とはどうでございます、死んだ後まで、悪女と位牌に書かれる女は、よほどの悪いことをしたのでございましょう」

「誰かの悪戯だろう」

「いいえ、そうではございませぬ、立派な位牌にその通り記してあるのでございます」

「はて」

「もしわが子ならば親が無言ってはおりますまい、妻ならば夫たる人が、悪女と戒名をつけられて無言っていよう道理がございませぬ」

「どうも解せぬ、読み違えではないか」

「いいえ」

「その悪女の悪という字が、たとえば慈とか悲とかいう文字が、墨のかげんでそう見えるのではないか」

「そうではございませぬ」

「慈女大姉、悲女大姉、その辺ならばありそうな戒名だが、好んで悪女と附ける者はなかろう、それは御身の読み違えに相違ない」

「いいえ、確かに」

お銀様は、確かに自分の眼の間違いでないことを主張したけれども、そう言われてみると、懸念が起りました。

「そんならば、もう一度見て参りましょう」

お銀様はそれを曖昧に済ますことができない性質です。立って仏壇をあけて見ましたけれども、仏壇の中は暗くありました。

「それごらんあそばせ、悪女」

取り出してよいものか悪いものか懸念をしながら、お銀様は自説の誤らないことを保証するために、行燈の光までその位牌を持ち出しました。