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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

一軒の家が一昼夜ずつの権利を持っている共有物でありました。その当番に当った家では、その機会においてなるべく多くの米を搗き、麦を挽かねばなりませんでした。これがために、いつもこの水車小屋には徹夜の働き手がいます。

もし若い娘がその当番の夜に働いていたならば、それと馴染の若い男が手伝いに来たがります。馴染でない若い男もやって来たがります。もしまた出来てしまった間柄である時には、その馴染であるとないとに拘らず、手を引いてこの水車小屋の一夜を、水入らずの稼ぎ場として許すのであります。

右の若い女が土手道をスタスタと歩いて行く時に、机竜之助は壁の下から軽く飛んで出でました。いくばくもなくその娘のあとから追いつきました。追いついたというけれど、それはほとんど風のようです。風は微風でも音がするけれど、竜之助の追いついた時までは音がしませんでした。

でも女はその音を聞かないわけにはゆきません。

「おや?」

箕を抱えたままで振返ると、そこに真黒い人影が、いっぱいに立ちはだかっているのを見ました。

「物を尋ねたい」

「はい」

女はワナワナと慄えました。

女はワナワナと慄えて、立っていられないために地面へ竦んでしまおうとした時に、竜之助は右の猿臂を伸ばして、女の首筋を抱えてしまいました。