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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

その右は二の丸で、後ろは楽屋曲輪、表門の左右にはお長屋があり、お長屋の前には腰掛があって、足軽が固めていました。

能登守はこの御番所の表門から入って、お長屋へお供を待たせて、刀を提げて玄関へかかりました。出迎えの者は、いつもするように上役に対する礼儀を尽して能登守を迎えました。これは今日に始まったことではないけれど、なぜか能登守はこの時に胸騒ぎがしました。一種の不安な気持がヒヤリと能登守の胸を刺して、玄関の大障子に何か暗い色が漂うているように見えたから、それで能登守はなんとなく胸騒ぎがしたのであります。

思い返してみるとその不安は、今朝に限ってお君の姿を見せなかったことから起る心配の変形であると弁解ができないではありません。ああ、出がけに一度、お君の病状を見舞ってやればよかった、今日はここへ医者も詰めているはずだから、それを急に見舞に遣わそうというようなことを思いながら、能登守は刀を提げて大広間へ進み入ると、五百人足らず集まった勤番のいずれもが能登守に対して、上役の出席という敬意を表したけれども、その席の上のいずれかに、やはり冷たい色が漂うように見えて、まだ能登守の胸騒ぎが止まりませんでした。