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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁
と言われて兵馬は奇異なる思いをしました。八幡村の小泉は、もとの自分の縁家である。ここへ来る時も思い出のかかった家である。今その家の名をこの和尚の口から聞き、しかも身重の女を守護してその家を訪ねよと請わるることは、兵馬にとって奇異なる思いをせずにはいられないのであります。
「小泉の主人が、いつぞやわしのところへ来て、和尚様、悪い女のために戒名を一つ附けてやって下さいというから、わしは、よしよし、悪い女ならば悪女大姉とつけてやろうと言うたら、有難うございます、そんなら悪女大姉とつけていただきますと言って帰った、その悪女大姉の家へ、また悪女を一人送り込むというのも因縁じゃ。この役はほかの者ではつとまらぬ、お前さんでなくてはつとまらぬ」
兵馬は、いよいよ奇異なる思いをして、とかくの返事に迷いましたけれど、思い切って承知をしました。
「よろしうございます、たしかにお引受け致します」
「有難い。では、夜分になって、八幡まではそんなに遠くもないところだから、宵の口に行って戻るがよい。しかし、聞くところによるとその女はなかなか曰くつきの女で、おまけに別嬪さんだそうだから、甲府あたりから狼が二三匹ついているということだから、その辺はお前さんもよく気をつけてな」