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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁
それから兵馬は、駕籠の先に立って行手の方をうかがうと、その時分に向うから、また橋を渡って来る人影のあることを認めました。
駕籠屋を励まして長蛇のような亀甲橋を渡り切ろうとすると、左は高い岩で、右は松原から差出の磯の河原につづくのであります。月は中空に円く澄んでいました。向うから歩いて来るのは僅かに一個だけの人影であります。
「少々……物をお尋ね申したいが」
笠を深く被って両刀を差して、袴を着けて足を固めたまだ若い侍体の人、おそらく兵馬より若かろうと思われるほどの形でもあり、姿でもあり、またその声は、女かと思われるほどに優しい響きを持っておりました。
「はい」
兵馬はたちどまりました。駕籠はこころもち足を緩めただけで進んで行きました。
「あの、七里村の恵林寺と申すのはいずれでござりましょうな」
「恵林寺は、これを真直ぐに進んで行き、塩山駅へ出で、再び尋ねてみられるがよい、大きな寺ゆえ、直ぐに知れ申す」
「それは忝のうござる」
若い侍は一礼して通り過ぎました。兵馬はその声が、なんとなく覚えのあるような声だと耳に留まったけれど、自分は近頃、あの年ばえの友達を持った覚えがありません。