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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

こう言って坊主沢を左に切れて、傍道へ入りました。少年もまた、同じようにしないわけにはゆきません。

なるほど、それは八州の役人らしい。幸いにしてこの役人たちは、いま横へ切れた二人の姿を見咎めもしませんで、やはり雨の中を粛々として甲州の方へ向けて下りて行くのは、何か大捕物でもあるらしき気配であります。

「どうも危ねえ」

がんりきはその横道を先に立って行きました。これは多分、天目山の方へ行かるべき路であろうと思われます。

八州の捕方を避けて横道につれ込まれた少年は、この案内者に相当の信用を置いているらしいが、気味の悪い感じも相当に伴わないではありません。しかしどこまでも弱味を見せないつもりで、それに従って行くと、さして大木ではないけれども、杉の木立の暗い細道へかかりました。

その杉の木立の中に、山神の祠といったような小やかな社のあるのを指して、

「あれで暫らく休んで参りましょう、どのみち本道へかからなくてはなりません、そのうち雨も歇むことでございましょう」

がんりきが先に立ってその祠の縁へ腰をかけ、

「ずいぶんお疲れなすったことでございましょうねえ」

「いいえ、それほどに疲れはしませぬ」