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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

この店の親方とは、心安い間柄と見えて、話しぶりも打解けたものです。その話を聞くと、笹子まで客を送って行って、これから鳥沢へ帰るところであるということです。

この馬子は隅っこへ腰をかけて、お松の方を遠慮深く見ていたようでしたが、

「もし、お武家様」

と言って言葉をかけました。

「はい」

お松は馬子から言葉をかけられたので、少しうろたえて返事をしました。

「失礼でございますが、あなた様は、これからどちらへお越しでございます」

「江戸へ下ります」

「左様でございますか、お一人で……」

「はい」

「いかがでございましょう、どのみち帰りでございますから、お馬にお乗りなすっておくんなさいますまいか」

と言われて、お松は馬子の面をチラと見ました。人の悪い馬方や雲助の多いことでは、郡内は名うてのところであります。ですから、なるべく今まで馬も駕籠も傭わないことにしていました。がんりきがついていたから、それでも今まで通って来たけれど、これからさき一人で歩こうものなら、どんなうるさい勧め方をされるかわからないし、万一、自分が女と知られた上は、またどんな目に遭うか知れたものでないと思いました。