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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁
主膳があの男というのは、ここの屋敷に籠っているはずの机竜之助のことでありましょう。竜之助を相手に雪見をしようと思って来たところが、その竜之助はいま眠っているものと見えます。
主膳はこんな独言を言っているうちに、立てつづけに呷りました。浴びるように飲みました。気がようやく荒くなりました。
「うむ、うむ、この刀、この刀」
と言って主膳は、やや遠く離して置いてあった例の梨子地の鞘の長い刀の下げ緒を手繰って身近く引寄せて、鞘の鐺をトンと畳へ突き立てて、朧銀に高彫した松に鷹の縁頭のあたりに眼を据えました。
「この刀を試すことをいやがる机竜之助の気が知れぬ、と言って拙者の腕で試してみようという気にもならぬ」
その途端になんと思ったのか、神尾主膳の眼中が遽かに血走って、
「お銀、お銀、お銀どの」
声高く、そうして物狂わしく呼びつづけました。
神尾主膳が続けざまにお銀様の名を呼んだ時は、もう酒乱の境まで行っていました。その時は思慮も計画も消滅して、これから燃え出そうとするのは、猛烈なる残忍性のみであります。
「お銀どの、お銀どの」
二階の梯子段の上まで行って下を見ながら、またお銀様の名を呼びました。