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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

それは何人よりもよく、お君に読むことの出来る眼の色であります。

お君はムクに導かれて、廊下伝いに歩いて行きました。

これはこの前の晩の時のように、闇でもなければ靄でもありませんで、梅が一輪ずつ一輪ずつ綻び出でようという時候でありました。

お君が、とうとうムク犬に導かれて、廊下伝いに来たところは米友の部屋でありました。そこへなにげなくお君が入って、

「おや、友さん」

と言いました。見れば米友はあちら向きになって、いま旅の仕度をして上り端に腰をかけて、しきりに草鞋の紐を結んでいるところであります。

旅の仕度といっても米友のは、前に着ていた盲縞の筒袖に、首っ玉へ例の風呂敷を括りつけたので、ちょうど伊勢から東海道を下った時、江戸から甲州へ入った時と同じことの扮装でありました。

「どこへ行くの、米友さん」

お君は米友の近いところへ立寄りながら尋ねました。

米友は返事をしませんでした。

「殿様の御用なの?」

米友はなお返事をしません。返事をしないで草鞋の紐を結んでいます。

「どうしたの、米友さん」

お君は後ろから米友の肩に手をかけました。

「どうしたっていいやい」

米友が肩を揺ると、お君は少しばかり泳ぎました。