輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

「まあ、御支配様」

と言って恍惚とさせてしまったことほど、能登守の男ぶりが立優って見えました。

こうして能登守は、先任の太田筑前守がいる桟敷の前まで来て馬から下りて、筑前守とおたがいの会釈があって席に着きました。

能登守の後ろには小姓が附いていないで、若党の一学が跪まっていました。

能登守が着座しても、まだ競馬の始まるまでには時間があります。その間は、見物が見物を見ることによって興味がつながれてゆきました。

見物はそれぞれ勝手に上下の人の噂をし合います。

けれどもその噂の中心が、どうしても能登守に落ちて行くのは争うことはできません。

「ああ、美い男には生れたいものだなあ」

と思わず大きな声で歎息して笑われたものもありましたけれど、笑ったものもまた同じような思いで能登守の姿をながめていました。

雛壇の連中は、さすがに口に出してそれを言うものはなかったけれども、その眼が一人として能登守の後ろ姿を追わないものはありません。

さきには人気の焦点であったこの赤い雛壇が、能登守の姿を現わしたことによって、その人気を奪われてしまいました。場内の人気の焦点から暫く閑却されたのみならず、当の自分たちまでが、能登守の人気に引きずられてゆきました。