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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

西の方からは紅の直垂を着て、同じく太刀を佩いた二人の世話係が出て来ました。この四人の世話係が馬場の本と末とに並んだ時――馬見所も桟敷も大入場も一同に鳴りを静めました。

御簾を下ろそうとしたお松も思わずその手を控えて立ちながら、多くの人と共に馬場の東の方をながめます。

十六人の射手が今そこから馬場の中へ乗り込む光景は、綾錦に花を散らしたような美しさであります。その十六人は、いずれも優びたる鎧直垂を着ていました。それに花やかな弓小手、太刀を佩き短刀を差して頭に綾藺笠、腰には夏毛の行縢、背には逆顔の箙、手には覚えの弓、太く逞しい馬を曳かせて、それに介添を一人と弓持一人と的持を三人ずつ引具して、徐々と南の隅へ歩み出でたのであります。

「お松様、そうしてお置きあそばせ、御簾が無い方がよろしいではございませんか」

女中たちは、なまじい御簾を下ろされて、せっかくの観物を妨げられることを好みませんでした。お松もまた、せっかくの観物の始まるに先だって、こんなことをしたくないのであります。

「では、このままにして置きましょう」

と言って、御簾を卸すことをやめたけれども、心配は自分のことでなくて、お君の身の上にあるようでした。