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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁
板橋は中仙道の親宿。八王子は、それとは、方面を変えた甲州街道の一駅であります。昨夜、板橋を出ていつのまに八王子へ来てしまったろうと、訝しさに堪えられません。しかしながら駕籠はいよいよ急ぎます。暫くして行手に山岳の重畳するのを認めました。
「あれは?」
と尋ねると、
「小仏峠でございます」
果して甲州街道へ来てしまった。しかし、よく考えてみると甲州街道へ来るのがその目的であったようです。
雲の棚曳いている小仏峠の下を見ると、道の両側に宿場の形をなした人家があります。両側の家の前には、水のきれいな小流れが、ちょろちょろと走っています。
「ここは?」
「浅川宿でございます」
と答えた途端に、急いでいた駕籠がピタと止まりました。
駕籠の止まったところを見ると、この宿場としては目立って大きな一軒の旅籠屋の軒下であります。それは昨夜と同じように、表の戸はすっかり締めきってあるのに、掛行燈だけが、かんかんと明るく、昨夕「若葉屋」と書いてあったところに、今宵は「こなや」と仮名文字で記されてありました。
駕籠はと見れば軒下に置放しにされて、駕籠屋は影も形も見えません。
そこで竜之助は、その家の戸をハタハタと叩きました。