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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《奇談クラブ(全)(しんきだんクラブ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 104,139 字 · 208 頁

青空文庫

「三公、見っともねえぞ、天道様に照らされて何んて態だッ」

不意に辻の六蔵の声、橋の袂から飛び降りると、町内の人達が捨てた塵埃を一と抱えさらって、私とお若の頭の上からサッと掛けます。

「何をしあがる」

激怒に私の眼は冴えました。飛び上ると六蔵の胸倉を取って、柔道初段の腕前、腰車にかけてサッと投げると、六蔵の身体はもんどり打って河の中へ。

「あッ、乞食の喧嘩だッ」

「乞食が川へ入ったぞ」

立ち騒ぐ橋の上の人には目もくれず、

「来いお若」

二人は岸に飛び上ると、浅草の方へ一文字に逃げ出してしまいました。

それから半時ばかり、何処を何う歩いたかわかりませんが、お若はとうの昔に振り捨てて、私だけたった一人、浅草の奥の捨石の上に頬杖を突いて考え込んで居ました。

フト思い付いて、自働電話に入り込んで、電話帳を繰って見ると、秀麿と呼ばれた自分の姓はわかりませんが梅谷、金井、葉山などという姓は幾つもあります。

「あるぞあるぞ――」

私はツイそう言ってしまいました。一人は婦人、一人は部屋住と見えて、葉山、梅谷だけではわかりませんが、金井半四郎の方は、事務所と本邸と二本まで電話を持って居ります。