輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《季節のない街(きせつのないまち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,379 字 · 394 頁
と老人は云った、「もし困ったらまたおいでよ、少しなら溜めておくからね」
そして、こんどは表からおいで、と云ったそうである。泥棒は財布を受取り、道具箱は置いてたち去った。
この事実は誰も知らなかった。半年だか一年だか経ったのち、その泥棒が警察に捉まったそうで、或るとき刑事に伴れられて、たんば老の家へ実地検証に来た。この家でこれこれのことをした、という自白の裏付けである。
「とんでもない、それはなにかの間違いです」たんば老は刑事の質問に対してそう答えた。「こんな貧乏長屋へ泥棒にはいる者もないでしょうし、うちではそんなことは決してありませんでした」
「ではこの男が夜なかに侵入したとか、金品を盗んだとかいう事実はないのですな」
「ええそのとおりです」老人は刑事に微笑した、「うちには盗まれるような物はなに一つありゃしません、その人は夢でもみたんじゃないでしょうかね」
この刑事との対談で、泥棒とのいきさつが知れわたったのであった。なるほどたんばさんならやりそうなことだ、おまけにあの泥棒は、たんばさんの一件だけ罪が軽くなるわけだからな、とここの住人たちは云いあった。