輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《山彦乙女(やまびこおとめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 頁
発見した財宝の巨額さが、叔父を誘惑しなかった、とはいえないであろう。それはあらゆる享楽や、自由や、欲望の満足を、約束する、まったく新しく、しかも解放された生活にはいることができる。
叔父は狂人をよそおった。それは前例があるうえに、自分の失踪をうなずかせ、なお、他の者を「かんば沢」へ近よせないための、無言の警告にもなる。ことさらに混乱し、恐怖を誇張した手記を遺し、狂気をよそおって、そして叔父は、遠藤兵庫としての自分を、この地上から抹殺した。人々は少しも疑わなかった。遠藤兵庫は失踪した、と信じられた。
叔父は時期をはかって、この洞窟に入り、ひそかに財宝を持ち出した。一度か二度か、もっとしばしばか、それを知ることはできない。しかし或るとき、洞窟が崩れ、頭を砕かれて、死んだ。
「こう考えては、あまりに付会しすぎるだろうか、あの死躰と、宝玉を詰めた革袋と、崩れている岩と、そして、あの……」
自分に向ってたしかめるように、こう云いかけたが、そこで彼は口をつぐみ、蝋燭の火を隠しながら、ふり返った。
人の声が聞えた。
反響するのでよくわからないが、かん高く、短い、叫ぶような声が。