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やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《山彦乙女(やまびこおとめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 頁

青空文庫

常とは違った、しなのある歩きかたをしているが、話に熱中すると、つい忘れて大股になる。すると白い柔らかそうな、すんなりした脛があらわになり、また慌てて、優雅な歩きぶりにかえるのであった。

「どうしてまた」と半之助がきいた、「そんな、とつぜんなことを考えだしたんです」

「あらとつぜんじゃございませんわ、わたくしはただ、あなたがそう思っていらっしゃる、っていうことに気がついただけですわ」

「私がどう思っているんです」

「鳥のような羽根が欲しいって、……どこかへ飛んでいってしまいたいって、ときどきになるとそういうお顔をなさいますわ、それも、おめにかかっているときにはわからないで、家へ帰ってからふっと気がつきますの、ああ、あの方はあんなお顔をなすっていた、どこかへいっておしまいになるのじゃないかしら、どうしよう、……そう思うんです」

なにゆえともなく、半之助は胸に一種の痛みを感じた。

「ですから乙女は考えましたわ、あなたに翼を付けてあげたいって、そうすればあなたは、此処がつまらなくなったり、怠屈したり淋しくなったときに、さっと空へ舞いあがって、高く高く、雲の上へぬけていったり、山を越え谷を越えして、好きなだけ遊ぶことができる、そうしてすっかり気分がなおったら、また此処へ帰っていらっしゃる、ね、それならいいでしょ、そういうふう