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やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《山彦乙女(やまびこおとめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 頁

青空文庫

登世はかれらに対しても、控えめで、なるべく世話をかけないように、と努めるふうであったし、花世はわがままいっぱいで、殆んど暴君のように、絶えずかれらを、奔命に疲れさせて来た。

――乙女さまのお守り役に当ると、命が三年ちぢまる。

かれらはこう云って、いつも花世から逃げるくふうをした。

だが、本当にかれらが怖れていたのは、花世ではなく、姉のほうであった。登世がいちどなにか云いだすと、人が違ったように強情になる、それは石にでもなったような感じで、誰の手にも負えなかった。

母ははやく亡くなった。姉が十一、花世が七つのときであったが、その母が、死ぬまで気に病んでいたのは、登世のそういう性質であった。

――ひとつまちがうと、自分が不幸になるばかりでなく、他人をも不幸にする。

しばしばそんなふうに心配していた。

こういう関係から、駒込へゆくかゆかないか、ということでは、花世は、相当たたかわなければなるまい、と覚悟していた。それほども、姉のようすは強硬にみえたのである。しかし、そこへ家扶の権之丞が来た。詳しいことはわからないが、父が病気になったし、江戸の滞在が延びすぎたから、ひきあげて甘利へ帰るように、といいに来たものらしい。