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ねんじゅうぎょうじおぼえがき

年中行事覚書

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《年中行事覚書(ねんじゅうぎょうじおぼえがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 135,005 字 · 262 頁

青空文庫

信州とは恐らく何の直接の関係もなしに、ずっと南の鹿児島県の喜界島には、七夕の由来として次のような昔話が伝わっている。

この島では天人をアムリガー、すなわち天降子と呼んでいる。昔々一人の若い牛飼があった。姉妹の天降子が天から降りて、野中の泉の傍の木に美しい飛羽を掛け、水を浴びているのを見つけて、その飛羽の一つを匿した。姉の天降子は驚いて飛んで天へ還ったが、妹は何と頼んでも牛飼が飛羽を出してくれないので、困ってとうとうその牛飼の嫁になった。それから幾年か仲よく暮して後、二人は天とうへ親見参に行くことになった。その時は以前の飛羽を出して着て、夫を脇にかかえて空を飛んで行った。飛びながらその女房がいうには、いつ迄も私と離れたくないならば、天とうへ行って親たちが縦に切れというものを、必ず横に切りなさいと、固い約束を夫にさせた。

天とうではちょうど胡瓜の季節で、二人の取持ちに畠から胡瓜を採って来て出した。そうして男が包丁を手に持っている時に、不意に親がナイキリー(縦に切れ)といったので、うっかり女房の戒めを忘れて、その瓜を縦に切ってしまった。そうするとたちまち眼の前に大きな川が出来て、天女と牛飼とは両方の岸に分かれてしまった。