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ねんじゅうぎょうじおぼえがき

年中行事覚書

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《年中行事覚書(ねんじゅうぎょうじおぼえがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 135,005 字 · 262 頁

青空文庫

そうして私は庚申の夜に祭る神も、もとはやはりそうであったろうと思っているのである。古い京都の記録を見ると、今からもう四百年近くも前に、宮中にもこの二つの御夜籠りがあったが、二十三夜の方は毎月行われた時があり、庚申は当然に二ヵ月に一度であった。毎月一度ということは信心の篤いうちはよいが、あまり回数が多いとかえって粗末になりやすく、時や費用の上からも大きな祭は出来ない。それで今でも二十三夜講は、村によっては毎月のところと、四ヵ月に一度のところと、春夏秋冬に一度ずつのと、年に一回だけ重々しい祭をするものとがあるのである。

そういう中では、年に三度というのが最も多い。通例は正月と五月と九月、この三つの月は一般に祭の月となっていて、そのためには婚礼とか引越しとかいうような、日の自由にきめられる祝い事は、なるべくこの月を避けている。そうして二十三夜なども念を入れてこの月に行うたのであった。その以外に年に一度という土地では、秋の初めの七月二十三夜というのがあり、または冬のなかばの旧暦十一月の二十三日、すなわち霜月三夜というのも古くからあった。

新暦では十一月はまだ農事の忙しい、人のくたびれて早く寝る頃だが、以前の太陰暦という暦では、もう寒くなって雪が降り始め、夜分がしんとして淋しくなって来る。