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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《我が愛する詩人の伝記(わがあいするしじんのでんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 頁
はじめて手紙をくれた日から三十年間にも、少しも渝らずに事があるごとに私を引き立て、名前を引きずり出して極まりの悪いくらい、友情は厚くその野性は至純なものだといい、彼の全集のどの頁にも私の名前があるのを見て、みずからにようじん深く悪小説家のたましいを抱いて、いまだに、ずるくぬけぬけと生きていることは少々はずかしい思いであった。私は彼よりも十何年か生きのびている、その十何年間を指折り算えてみて折々大笑し、そしてかえりみて済まんような気がするのである。彼と私とはおたがいにムシが知らせ合ったものを、その半生に持ち合わし照らし合わせていたようなものだ。
『朱欒』には大手拓次の詩も間もなく紹介され、白秋の三羽烏は萩原と大手拓次に私の三人をかぞえた。後年、大木篤夫が白秋の直門になって現われたが、白秋が萩原と私と大手拓次を詩の方で引き出したことは、人の原稿を見分けることでも、なかなかにうるさいぐらいに厳格な人であっただけに、やはり眼は人を見分けることに鋭く行きとどいていたのだ。『朱欒』に詩の出た翌年私は京都に上田敏をたずねた。(―藤井紫影の紹介名刺持参―)詩集『海潮音』