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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《我が愛する詩人の伝記(わがあいするしじんのでんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 頁
まだ堀のからだは丈夫だった。銀座の表通りに出ると、風が突然烈しく吹き出し堀はも一軒寄る処があるといって別れた。その日の印象は津村が煙草をのんでいたこと、明るく黄濁した病室の西日の色、にこにこしていた津村の顔の外はなにも覚えていない。
堀辰雄の印象は表通りに出て、突然の烈しい風に堀もうつ向き、僕も帽子を手で抑えて突然の寒さに、散歩もむだな気がして同時に別れたことだった。そういう散歩の取り止めがさびしく心を領する時があるものだ、僕の行きつけの酒場に行こうと誘うたにちがいないが、堀は酒を好かなかったので、体裁好く、も一軒寄る処があると同じことを言って別れたのである。ああいう晩に何処に寄る処があったのだろうと、体裁でそう言ったのではなく、本当に何処かに寄ったものに思えた。
津村信夫、明治四十二年一月五日 神戸市葺合区熊内通に生まる。父、津村秀松、兄、津村秀夫、雪中尋常小学校及び県立神戸一中を経て、昭和三年四月慶応義塾大学に学ぶ。
最初『アララギ』により短歌にいそしみしが、後に白鳥省吾の『地上楽園』による。
昭和七年一月植村敏夫、中村地平、兄秀夫とともに文学同人雑誌『四人』