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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《我が愛する詩人の伝記(わがあいするしじんのでんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 頁
という詩集を送りとどけてくれた時に、私はむねがすっきりする愉快を感じたものだ。私の詩にあるぐにゃぐにゃした抒情風なものを、握り締めたようなきびきびした詩の主体が、私に非凡な詩才をうなずかせた。彼の詩のどれもそつのある表現の詩はない、隅から隅をたたみこんでいる。私は未知の百田に礼状を書いて、『一人と全体』という処女詩集をたいせつに所蔵した。
彼の詩の現われは西欧風で、当時流行った民衆派であったが、民衆派の詩脈がいかにも威張り返ったところがあって、表現は脅迫的でのしかかって来るところに、彼が西欧の詩を悪くうけとっていたことが見られ、私はその点では不賛成であった。併し当時にあってはつねに見事な完成が彼の詩の上に早くもあらわれ、何のことはない、最初から完成している詩人の傾きさえあった。山村暮鳥や萩原朔太郎などと較べると、ずっと、聡明でカチカチ鳴っている男であっただけ、カチカチしたものは、ただのカチカチで終ったところがあった。萩原朔太郎のカチカチ鳴ったものには、黄金のおとがまじっていたとすれば、百田宗治のカチカチには洋銀のおとがあった。こんな事を彼の前で言っても彼は決して怒らない男である。