輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

わがあいするしじんのでんき

我が愛する詩人の伝記

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《我が愛する詩人の伝記(わがあいするしじんのでんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 頁

青空文庫

というのが、てれかくしで、よび好いためなのであろう。

百田宗治はしかし同棲十年で、このしをりさんとついに別れた。別れた後の何年かに、私は駒込駅で彼女にゆきあったが、老けた悲しい化粧姿が、つい私に深く帽子を脱がせ、丁寧に頭をさげさせた。私は彼女の老いに対して世にも物しずかに挨拶をしたのである。彼女と百田との間ではよく話し合いがついて別れたが、彼女は長唄の師匠をして世を遠のいてくらしていたらしく、気性に向いた暮らしをするために、何軒かの大阪にあった長屋を処分したとか聞いていたが、明治から大正にかけた婦人の片鏡のような人で、いまは斯様な優しいおばさんは滅多に見ることは出来ないのであろう。

何年か前にどこの誰にきいたのか覚えていないが、このあんたはんは、別のよい人につき添われて亡くなったことを仄聞した。その時の感銘は墓石に映るいたいけな花のようで、少時その石のおもてから眼を離さずにいたい気持だった。

触目

ひとりで生き、この世を観

この世の雨の音をきき

そしてまた死んで行つたとしても

何者をこの世に残さなかつたとしても

それだけで沢山ではないか

かすかな薄日を落しただけで