輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

わがあいするしじんのでんき

我が愛する詩人の伝記

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《我が愛する詩人の伝記(わがあいするしじんのでんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 頁

青空文庫

マントの前釦は一つしかかけていないし、ふだん着のまま古下駄をはいていたが、ときには近くへは素足のままであった。家に戻れば梯子段をとぼとぼと千里の峠を踰えるように登り、すぐ床にもぐり込むのだが、声量あざやかな前夫人は、(つまり葉子さんが呼んでつれて来たところの)眼の美しい彼女は、いまごろ何処まで行って飲んでいたのよ、服も帽子も泥ンこじゃないの、毎晩毎晩なにが面白くてほっつき歩いているのよと叱っても、わが萩原朔太郎は、ふ、ふ、と笑って、まあそこに坐れよと言うのである。そして目をとじるとどんなに起してももう眼はさまさなかった。何たるぐにゃぐにゃさんだったことか、女給サンなんぞさんざ美しいのを見て来てさ、坐れもないもんだとまだ彼女は洋服をたたみながら言っても、とうにわが愛する友は寝込んで了って、なにも耳の中には妻の言葉ははいらなかったのだ。

家庭

古き家の中に坐りて

互に黙しつつ語り合へり。

仇敵に非ず

債鬼に非ず

「見よ! われは汝の妻

死ぬるとも尚離れざるべし。」

眼は意地悪しく 復讐に燃え 憎々しげに刺し貫ぬく。

古き家の中に坐りて

脱るべき術もあらじかし。

我れの持たざるものは一切なり