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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《我が愛する詩人の伝記(わがあいするしじんのでんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 頁
書留郵便だと金がかかるといい、前橋では振替口座に加入していた。
大正十四年(一九二五年)四十歳
私が田端にいたので、田端の入口の藍染川近くのお稲荷さんわきに住んだ。私は彼を誘うてやはり酒を飲んだ。十一月に鎌倉材木座に移ったが間もなく大森馬込町に転居した。ここで彼は第一夫人稲子さんと永い夫婦生活を断った。彼の乱酒行のもっとも甚だしい時であった。私は彼のすすめで彼の家近くに引っ越し、今日に至っている。
昭和七年(一九三二年)に北沢に彼は遺産で家を建てた。まわりは悉く渋いココア色で塗り潰した家である。彼はこの家で若い第二夫人を迎えた。その年の夏、はじめて軽井沢に別荘を借りて住み、私と萩原は夕方五時半の時間を決めて町の菊屋で落ちあい、ビールを飲んだ。若い時分のくせをこの避暑地でうまく都合つけたのも、よい思いつきであった。彼は五時半には菊屋に現われ、私もその時間におくれずに現われた。そしてビールを二本あけると二人は別れた。彼は若い妻のいる別荘へ、私は自分の家へ、そして私達はそれぞれにあらためて家で晩酌の膳についたのである。併し彼の別荘借りは一年しか続かなかった。