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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

「明日は明日」

と、方向のない生活から湧く、どうしようもない濁流であった。

政庁の三好、松永が頼むに足りないとしたら、管領のほかに、世に将軍家の御相伴衆といわれている山名、一色、赤松、土岐、武田、京極、細川、上杉、斯波などという大名たちはどうしているのか。

それらもまた、各自の国々において、同じ時代の悩みにつき当っていた。京都は京都、将軍家は将軍家。より以上、自分たちの国境や内部において、その多端に奔命していた。大きく世を思い、他を顧みる遑などはなかった。

そうした京都へ来て、藤吉郎はまた、その眼に見、耳に聞いた。

朝廷の御衰微の想像以上だったことである。

畏れ多いが――

と、よく下々の噂にも聞かぬ沙汰ではなかったが、御所の築土は破れ果て、御垣守の影すら見えない。栗鼠や野良犬さえそこを越えているのだ。内侍所に雨や月影が洩って、冬ともなれば、御衣の料にすら事を欠くと、勿体なげに沙汰する下々の憂いも真であろう。

誰であったか、その頃。

公卿の常盤井殿へ伺候して拝謁を願い出たら、折しも十二月の中旬というのに、垢じみた衣冠すらなく、夏のままな単衣に蚊帳を上に纒うて会ったということである。