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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

されば、男が男に恋の引出物として、貴女に熨斗をつけて彼に与え申した。……というては品物のようにするようじゃが、男とは、そんなものよ。ははははは。――いや、そうじゃないか木下」

「うむ、おおかた、そんなお心根かと、遠慮のう娶うたのだ」

「そうとも、こんなよい妻、遠慮などしたら、見損うた男と、犬千代はかえって蔑むぞよ。お汝には、過ぎた女房ぞ」

「ばかを申せ」

「あはははは。何せい欣しい。のう木下、おぬしとわしとが生涯つきあおうが、かかるめでたい夜はあるまいぞ」

「む。あるまいな」

「お媒人の名代殿には、いずれへ退散してしまわれたか。寧子どの、そこらに、小鼓はないか」

「ござりまする」

「犬千代が小鼓をいたせば、誰ぞ立って、幸若舞なと、田楽舞なと、一さし舞わしゃれ。木下どのは話せぬ男で、まだ舞はよう舞わぬそうな」

「……では、お座興に、わたくしがふつつかな舞を一さしお眼に入れましょう」

起ったのは花嫁の寧子なのであった。犬千代や池田勝三郎や、そのほかの豪の者も、これにはあッと眼をみはった。

舞をまうということは、その時代にあっては、さして物改まってすることではなかった。