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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

「そうと、お使者の結果を知ったら、何かこう、急に眠とうなってしまった。……考えてみると、ゆうべから寝ていない」

祝福しあう声の中で、ひとりがいうと、藤吉郎が大きな声で、

「わしは違う。それとはあべこべだ。ゆうべもめでたし、けさもめでたし、こう欣びが重なっては、もいちど須賀口へ立ち戻って、新しく飲み直しとうなった」

すると、池田勝三郎が、

「嘘をもうせ。帰りたいのは、寧子どのの許へであろう。やれやれ、初夜の嫁君は、いかに夜を明かしつろう」

からかう尾について、

「はははは。木下殿よ、いらざる我慢なむだに候ぞ。きょう一日、お役のお暇を乞うて、帰ってはどうじゃ。待つ人もあるに」

「ばかな」

藤吉郎は、わざと力む。友だちどもが笑うのを承知のうえである。どっと朝ぼらけの哄笑が廊下へ流れ出た。とうとうとお城の上では太鼓が鳴っていた。各※(二の字点、1-2-22)、役目に従って、その働くところへ急いで別れ去ったのであった。

「ただ今、戻った」

広くもない浅野又右衛門の家の玄関であるが、藤吉郎が立つと大きく見える。声が高いし、容子が明るいからである。

「――あら」

式台で鞠をついていた寧子の妹のおや屋は、眼をまろくして彼を見あげた。