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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁

青空文庫

士風は、大いに革まった。半兵衛が、孫子や論語を講じる時には、蜂須賀彦右衛門なども、聴講の床に、欠かさず姿を見せた。

ただ恨むらくは、かんじんな半兵衛重治が、相変らず壮健でない。そのため時々休講して、家中の者を失望させた。

きょうも、昼は勤めたが、夜学の講義は休むといって、半兵衛は、黄昏れるとすぐ北の戸を閉めさせた。木曾の上流からくる夕風は、晩春といっても、半兵衛の病骨にはなお寒いらしかった。

「お兄上さま。奥へ臥床をのべておきました。お寝り遊ばしてはいかがですか」

おゆうは、兄が持薬の煎じぐすりを、机のそばへおいて、相変らず閑さえあれば、書物に眼を曝している半兵衛へそっと云った。

「いや。大して体が悪いわけではない。殿からお招きがあろうも知れぬと思われるので、講義を休んだのだ。――寝る支度よりは、お召しがあったら直ぐ出仕の相成るよう、衣服など揃えておけ」

「おや……左様でございましたか。なんぞきょうは、御本丸に、お集会のことでも」

「ちがう」

半兵衛は煎薬の熱いのをすすりながら、

「先ほど、戸を閉める折、そなたが告げたことではないか。お使者の小旗を立てた舟が、江を渡って、岐阜よりお城の門へ着いたようじゃと」