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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁

青空文庫

どうぞ、一刻も早く。

――貞昌の書面はそう結んであるのだった。さんさん涙なきを得ない。

「強右衛門」

「はい」

「なお、詳しいことも訊ねたいが、心がせく。即刻、この書面、殿の御覧にいれて参るほどに、しばらく、これにて休んでおれ」

「かしこまりました」

「ゆるす。足をくずせ、横になって、身を休めてもよいぞ、疲れておるであろう」

「いえ。べつに」

「腹は、どうじゃ。飢もじゅうないか」

「……実は、粥なと、すこし欲しゅうござりまして」

「申しつけてやる。さあ、脚をのばせ、気ままにしておれ」

貞能は、外へ出て、家中のひとりへ、何かいいつけていた。そしてあたふたと、大廊下を奥へ駈けた。

夜もだいぶ更けているのに、本丸の奥には、鼓の音が冴えて聞え、明々とまだ燭もかがやいていた。

客殿は両国の重臣でいっぱいだった。その上段の席に、家康と信長の顔が見える。

信長は、寛々たる態度で、手に杯をもち、好きな小舞や小鼓を所望して、眺め入っていた。

家康もここでは、気が気でないような顔つきは、客にたいして見せられなかった。

杯間、ふと、

(長篠の味方どもは?)

と、その安危が、しばしば胸を襲って来るが、強いて笑い興じ、努めて平常のごとく装い、信長をして少しでも、