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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
「いちばん年下の石田佐吉が、馬に馴れぬのを面白がって、誰やらが、わざと落馬させたらしいので」
「佐吉が落ちたか。落馬も稽古のうち、よかろうよかろう」
行軍は、またつづけられる。道は播磨に入り、その日のたそがれには、予定の地、加須屋に着くことになっている。
陰気でただ規律や形式のみ重んじる柴田勝家の統率下にあっても、冷厳峻烈な信長直属の陣中にあっても、羽柴軍だけには、いつも一つの特色が漂っていた。ひとくちにそれをいえば、「陽気」というものである。いかなる艱苦や悪戦のなかでも、その「陽気」なものと、全軍一家族といったような和気の藹々と醸されていることだった。
だから、十二、三歳から十六、七の少年ばかり一団となっている小姓組などは、とかく馴れすぎて軍紀を紊しやすかったが、たいがいな場合、この家長は、
「抛っとけ抛っとけ」
で、大目に見ていた。
薄暮の頃である。
先鋒は、粛々と、播州加須屋へ入っていた。
ここは、敵地の中の盟国だ。去就にまよい、四囲の重圧にあえいでいた盟国の土民は、篝を焚き、歓呼して、秀吉の兵馬をむかえた。
中国進駐の第一歩は印された。戛々と、夕ぐれの大地を鳴らして、糟屋武則の館にはいってゆく長蛇の列を見るに。