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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
「敵を知るは、兵家の第一に心得べきことかと存ぜられます。部将、軽輩の者などにさえ称えては、よろしくない儀もございましょうが、わが君に、正しき敵の真価をおつたえしておくことは、秀吉の任務かと存じますゆえ、正直に申しあげるのです」
「……それもあろう」
嫌々ながら、信長もついに、敵の強さを認めたかたちである。――が、なおどこかに疼く彼の勝気を、やがてこんな言葉で吐き出した。
「それもあろうがじゃ。味方のふるわぬ理由はなおもう一つべつにあろう。――筑前」
「はあッ」
「総大将たる役目は容易であるまい。滝川、丹羽、明智、みな一かど、一方の将たる器。とかく、そちの指揮どおりには、動かぬのではないかな」
「……御明察」
と、首を垂れて、秀吉は、戦陣窶れのしている顔を赧らめた。
「何分、後輩の秀吉、過分な大任にござりますれば」
彼は敢えて、ここで傲語はしなかった。信長の出馬の意志を阻めている陰にも、微妙な宿老たちの私心が作用していることが見え透いているからである。毛利の大軍はなお怖るるに足らないとしても、味方のうちのそういう潜在に対しては、彼はふかく戒めていた。
「こうせい! 筑前」