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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 頁

青空文庫

勝家同様、秀吉もまた、彼の天質のどこかを愛して、

(殺すに惜しきもの)

と、きょうまで、宿題に附しておいたに違いない。

で、秀吉は、京へ還ると、間もなく、使いを遣って、率直に意中を告げ、もって玄蕃允に諭させた。

その旨というのは、つまりこうなのである。

(勝家はすでに逝く。この上は乃公を勝家と思え。やがて帰国もできるから、その方のために、どこか大国一ヵ城を宛て行うであろう。よくよく思い直すがいい)

これに答えて、玄蕃允は、

(勝家は勝家なり。勝家に代えて思い替うべき御方がなおあるべしとは思われず……)

と、笑い、

(すでに、勝家自害の上は、玄蕃ひとり浮世に留まる念慮はない。――たとい、天下を下され候とも、筑前に仕うるなどとは存じもよらぬこと)

と、云い切った。

昨夜、蜂須賀彦右衛門が、旨をうけて行ったのは、その使いがむなしく帰ってから数日後の、二度目の使いだったのである。

それだけに、彦右衛門は難しいと思って行ったが、果たせるかな、夜来、根気よく説いてみた彼の老熟の弁も、玄蕃允の意をひるがえさすことはできなかった。

「彦右か。どうであった?」

秀吉は彼を見るや問うた。