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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 頁

青空文庫

同憂

家康は、その皮肉に対して、

「小田原の者どもは、人の贈り物を、目にだけ見て、味わいもせず、かかるなめげの挙動をなすことよ。かしこの政事もおよそこれに似たるものか。よし、よし……何もいうな」

と、却って、家臣の口をかたく慎ませていた。

同憂

安土にある三法師君も、明けて五歳になった。この正月を迎え、その健やかな成長を拝すべく、年賀に伺候する大名も多かった。

「勝入どのではないか」

「おお、忠三郎殿よな。さて、よい折に」

本丸の大書院前で、出会いがしら、こう初春らしい声で、御慶を陳べおうている諸侯があった。

秀吉の大坂移居によって、去年その大坂から大垣へ移封された池田勝入斎信輝と、ひとりは蒲生忠三郎氏郷であった。

「いよいよ、おすこやかな態。まず何よりで」

「いや、元気は年と共にだが、何とも、忙しゅうてな。……まだ、今度の大垣の地にさえ、幾夜も寝ておらぬ」

「そうそう、勝入どのには、大坂御普請の奉行をも御兼務でしたな」

「ああいう御用は、増田や石田などには打ってつけじゃが、われら武弁には向かぬ。やくたいもないことのみ多くてよ」

「いや、適任でないお人を、一日でも、不適所におく筑前様ではありません。