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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 頁

青空文庫

藍より出でて藍より青し。

信長の衣鉢は、まさしく、秀吉によって継がれたものといっていい。秀吉は故主の長を取って短を捨て、独味の行き方と、天質の大を加えて来た。

早くから海外に眼を放って、いつか世界的知性を帯びていたのも、畢竟、信長の恩恵であった。安土の高閣の一室にあった世界地図屏風は、そっくり秀吉の脳裡に写しとられていた。

また、堺や博多の大町人たちから得た知識も少なくない。それらの者たちとは、公用としては、鉄砲火薬の取引などで日常に接し、私人としては、茶友として会することもしばしばだった。

秀吉は、卑賤に生れ、逆境に育ち、特に学問する時とか教養に暮す年時などは持たなかったために、常に、接する者から必ず何か一事を学び取るということを忘れない習性を備えていた。

だから、彼が学んだ人は、ひとり信長ばかりでない。どんな凡下な者でも、つまらなそうな人間からでも、彼は、その者から、自分より勝る何事かを見出して、そしてそれをわがものとして来た。

――我れ以外みな我が師也。

と、しているのだった。

故に、彼は一箇の秀吉だが、智は天下の智をあつめていた。衆智を吸引して本質の中に濾過していた。