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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 頁

青空文庫

――すぐ板にしたためて、陣々へ配れ」

こう命じた秀吉は、それでもまだ腹がいえないように、

「筒井伊賀、滝川儀太夫」

と、居合わす将士をよびたてて、自身、出撃の令を出した。

「憎ッくき数正の振舞じゃ。汝らは、遊軍となって、数正の陣の前面にある味方をたすけ、夜をとおして、攻めたてい。あすも攻めい。あすの夜も、攻めに攻めて、数正めに、息つかすな」

さらに、また、

「一ノ瀬仁右衛門。夕賀宗十郎、山内猪右衛門」

などと、屈強の者を選びよんで、同じように、手勢六百、七百とさずけては、前線へ駈け向わせた。

こうした後で、

「湯漬。湯漬を」

と、さいそくして、夕方の食事をいそがせた。どんな時も、かれは、飯をくうことを忘れない。

於通が、給仕につく。

飯のあいだにも、黄母衣の武者が、犬山との聯絡に、ひんぱんな往復をつづけていた。

――そして、さいごの使者が、池田勝入の報告をつたえて来たとき、

「……よし」

と、ひとりつぶやいて、飯のあとの白湯を、気長に飲み終った。

宵になると、小銃の音が、後方のこの本陣まで、豆をいるように遠く聞えてきた。

「怖くないか」

於通へ、いった。

於通は、笑って、